香撰堂本舗 / ワンランク上の味わいを食卓に、静岡産100%深蒸茶匠、特許取得の備長炭入り炭火焙煎茶

特許公報

 

【公開番号】2004-8166(P2004-8166A)

           【発明の名称】炭入り包装茶およびその製造方法
【発明者】【氏名】石原 久司
【住所又は居所】神奈川県横浜市港南区上永谷5-15-53 有限会社香撰堂本舗内
【課題】炭から放射される遠赤外線を包装体内の茶葉へ作用させて、この茶葉に施された香りを維持させて、更には、味の向上はもちろんのこと、包装中にあって、茶葉の香気を十分に得ることができる炭入り包装茶およびその製造方法を提供する。
【解決手段】製茶された茶葉1にあって、その乾燥工程または火入れ工程において加熱された前記茶葉1を包装体2内に収容すると共に、この包装体2内へ炭3を一緒に収容させてなり、前記炭3は、固体状に形成させて炭包装体12内に収納する。
【特許請求の範囲】【請求項1】
製茶された茶葉にあって、その乾燥工程または火入れ工程において加熱された前記茶葉を包装体内に収容すると共に、この包装体内へ炭を収容させてなり、前記炭は、固体状に形成させて炭包装体内に収納したことを特徴とする炭入り包装茶。
【請求項2】
炭を収容させた炭包装体は、粉化した炭の粉粒物を通過させない素材により形成させたことを特徴とする請求項1記載の炭入り包装茶。
【請求項3】
製茶された茶葉にあって、該茶葉の乾燥工程または火入れ工程において前記茶葉と共に固体状の炭を入れて加熱し、この茶葉の乾燥または火入れを行うものであり、該茶葉の乾燥工程または火入れ工程が終了した後、この加工済み茶葉を包装体内に収容すると共に、前記茶葉の乾燥工程または火入れ工程で使用した炭を炭包装体内に収納して、前記包装体内へ前記加工済み茶葉と共に収容させたことを特徴とする炭入り包装茶の製造方法。
【請求項4】
包装体内に収容する茶葉は、加熱された状態において前記包装体内へ収容し、茶葉の放散する残存温度により、炭からの遠赤外線の放射を促進させたことを特徴とする請求項3記載の炭入り包装茶の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、炭から放射される遠赤外線を包装体内の茶葉へ作用させて、該茶葉に施された香りや味などを維持させることができ、また、茶葉を熟成させることができる炭入り包装茶およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、製茶された荒茶などに対して、熱風による加熱や加熱された鉄板上において煎って火入れ茶特有の芳香を生成させ、香味を向上させることが知られている。しかしながら、この茶葉は、加熱によって引き出された香気が、袋詰めされて市中に流通する過程において次第に消失して、消費者の手元に渡って喫茶されるときは、その大部分の香りが抜けてしまうことがあった。そのため、折角火入れ加工を行ったにもかかわらず、十分な香味を楽しむことができないものであった。
【0003】
特に、従来の茶の製造にあって、茶の香りを強く出そうとすると、その強い火入れによって抽出した茶の水色が落ちる。一方、良好な水色を維持しようとすると、前記火入れ工程をある一定までに抑えざるを得ず、十分な香りがお茶に付かない。という相反する大きな問題点を有するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記した問題点を解決するためになされたもので、製茶された茶葉にあって、その乾燥工程または火入れ工程において加熱された前記茶葉を包装体内に収容すると共に、この包装体内へ炭を収容させてなり、前記炭は、固体状に形成させて炭包装体内に収納することにより、炭から放射される遠赤外線を包装体内の茶葉へ作用させて、該茶葉に施された香りを維持させて味はもちろんのこと香気を十分に得ることができる炭入り包装茶およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するための本発明の手段は、製茶された茶葉にあって、その乾燥工程または火入れ工程において加熱された前記茶葉を包装体内に収容すると共に、この包装体内へ炭を収容させてなり、前記炭は、固体状に形成させて炭包装体内に収納した炭入り包装茶の構成にある。
【0006】
炭を収容させた炭包装体は、粉化した炭の粉粒物を通過させない素材により形成させる。
【0007】
そして、
製茶された茶葉にあって、該茶葉の乾燥工程または火入れ工程において前記茶葉と共に固体状の炭を入れて加熱し、この茶葉の乾燥または火入れを行うものであり、該茶葉の乾燥工程または火入れ工程が終了した後、この加工済み茶葉を包装体内に収容すると共に、前記茶葉の乾燥工程または火入れ工程で使用した炭を炭包装体内に収納して、前記包装体内へ前記加工済み茶葉と共に収容させた炭入り包装茶の製造方法にある。
【0008】
包装体内に収容する茶葉は、加熱された状態において前記包装体内へ収容し、茶葉の放散する残存温度により、炭からの遠赤外線の放射を促進させる。
【0009】
【実施例】
次に、本発明に関する炭入り包装茶およびその製造方法の一実施例を図面に基づいて説明する。図1においてAは炭入り包装茶で、製茶された茶葉1と、この茶葉1を収容する包装体2と、該茶葉1と共にこの包装体2内に収容される炭3とからなる。
【0010】
そして、前記した茶葉1は、慣用の製茶法により、例えば、蒸熱,粗揉,揉捻,中揉,精揉、また、乾燥などの各工程をそれぞれ経て製造された煎茶(緑茶)であって、更には、この煎茶(緑茶)に対して火入れ機により火入れ仕上げがなされている。
【0011】
この乾燥工程または火入れ工程にあっては、例えば、図2に示すような、乾燥火入れ機4により行われるもので、乾燥工程においては、機体5へ無端状に所定長さに張設したベルトコンベア等の移送手段6へ、投入ホッパー7からの茶葉1を一定層厚となるように供給して、この移送手段6上に設けた覆体8内に配設した加熱源である複数基のマイクロ波発生体9を対応させてある。
これにより、例えば、0.2~1.5m/分の移送速度の移送手段6により移動する茶葉1に対して、例えば、2300~2500MHZの周波数からなるマイクロ波を照射させることで、該茶葉1は加熱され、その含有水分が内部より放散されて均一に乾燥される。
【0012】
また、火入れ工程においては、機体5へ回転自在に横架された加熱ドラム10へ供給して、前記乾燥工程において水分調整された茶葉1に対して火入れ仕上げを行うもので、加熱ドラム10内へ臨ませた加熱源である遠赤外線ヒータ等の加熱手段11により加熱する。
【0013】
この火入れ工程は、茶葉1に対してその製品温度が、100℃~140℃程度となるように、10分~40分程度行うもので、好ましくは、120℃~140℃程度の比較的高温で火入れすることが、遠赤外線効果と相俟って、茶葉1に良好の香味が引き出され、かつ、コクのある味わい感が与えられる。
【0014】
特に、この茶葉1の乾燥工程または火入れ工程において、加工される茶葉1と一緒に後記する固体状の炭3を入れて加熱を行うもので、前記加熱源によってこの炭3が加熱されることで、該炭3から遠赤外線を発生させて加工中の茶葉に照射する。また、この炭3からのマイナスイオンも放散されて、この加工中の茶葉に該マイナスイオンが含まれる。更には、茶葉1の火入れ工程において、その加熱ドラム10内へ茶葉1と共に炭3を入れることで、茶葉1の火入れ中に、該茶葉1は絶えず、炭3と接触して遠赤外線効果を得ることができると共に、この機械的な火入れ工程では取り除くことができない、製茶工程等において付着した不純な臭いが炭3との接触によって取り除かれる。
【0015】
前記した包装体2は、製茶された茶葉1を所定量に、例えば、50g~500g等のように充填して密封包装させるもので、紙製やポリエチレン・ポリエステル・ポリプロピレンフィルム更にはアルミナ蒸着ポリエチレン・ポリエステルフィルムなどの素材により、三方袋や合掌袋等に製袋して、茶葉1の収容後は、ヒートシールなどの手段により開口部を密封してある。
【0016】
前記した炭3は、木や竹などの天然植物を原料として、高温で、例えば、800℃~1300℃程度の温度により焼いたものが用いられるもので、特には、ウバメガシを用いた備長炭が好ましい。また、この炭3は、焼成したものを粉砕することなくそのままの固体状態で用いるもので、所定寸法に、例えば、太さ10mm~50mm程度のものを、長さ30mm~80mm程度に切断して成形する。この炭3の長さや太さは、製品茶葉1を充填包装する包装体2の大きさや容量に応じて選定される。
更に、例えば、太さ50mm以上のものは、二つ割りあるいは三つ割り等に分割してもよいものであるが、好ましくは、太さ方向においては焼成された丸のままで用いることで、粉状になりにくく、取り扱いが良好となる。なお、この炭3は、細かく割れたものを集めて炭包装体12内に収納してもよい。
【0017】
更に、この炭3は、炭包装体12内に収納することにより、例え、該炭3が粉化しても、この炭粉は、包装体2内に収容された茶葉1に混入することがない。該炭包装体12の素材は、粉化した炭3の粉粒物を通過させないものであれば任意の素材が用いられるもので、例えば、紙や不織布あるいはポリエチレン,ポリエステル,ポリプロピレン等の合成樹脂フィルムが使用される。特に、合成樹脂フィルム製は、比較的良好な包装強度が得られ、かつ、粉粒物の遮断性(通過させない作用)が高い。なお、この炭3は、あらかじめ水などにより洗浄して乾燥させたものを用いることが好ましいもので、あるいは、エアーシャワーにより表面に付着した不純物や異物を取り除いてもよいものである。
【0018】
したがって、前記のように構成される本発明実施例の炭入り包装茶Aおよびその製造方法は、製茶された茶葉1を乾燥火入れ機4に投入してマイクロ波発生体9によりマイクロ波を照射し、該茶葉1の含水量を例えば、4%以下に調整する乾燥工程を行う。
【0019】
更に、前記乾燥を終えた茶葉1を、この乾燥火入れ機4において、加熱ドラム10へ供給し、更に、太さ20mm、長さ50mm均一に揃えた備長炭の炭3を前記茶葉1と共に加熱ドラム10内へ供給して、遠赤外線ヒータによる加熱手段11によって、138℃の製品茶温により20分程度火入れを行った所、良好で強い炒れ香が得られた。このとき、加熱ドラム10内へ茶葉1と共に入れた炭3の、その発生する遠赤外線によってその乾燥や火入れが良好に行われると共に、茶葉1の芳香以外の不純香が取り除かれて、本来お茶の持つ芳醇な香りがした。また、炭3に一般の炭より硬質な備長炭を使用することで、前記火入れ工程では容易に粉化することなく最後までその原形を保って茶葉1内へ粉炭を混入させない。
【0020】
更に、前記火入れ工程で使用した炭3を加工済み茶葉1と分別して、該炭3をポリプロピレン製の合成樹脂フィルムにより製袋した炭包装体12内へ収納し、その開口部をヒートシールにより封をした。この封は、炭包装体12内と包装体2内とが相互に通気し得る程度に設けられてもよい。
【0021】
そして、前記火入れ工程を経た茶葉1を、アルミナ蒸着ポリエチレンフィルムにより製袋した包装体2内へ充填し、その茶葉充填量が半分程度となったとき、前記用意した炭3入りの炭包装体12をこの包装体2内へ収容し、更に、この炭包装体12の上から茶葉1を充填して、該包装体2の開口部(充填口)をヒートシールによって密封し、茶葉1の200g容量の炭入り包装茶Aを得た。なお、密封に際して包装体2内は、ガス置換されて内部の酸素残有量を可及的抑えた。
このとき、炭3入りの炭包装体12は、包装体2内においてその略中央部に納まっていることで、該炭3の持つ様々な効果や作用が包装体2内の茶葉1に対して万遍なく行われる。
【0022】
特に、この炭3を茶葉1を充填した包装体2内に入れることで、製茶工程において該茶葉1に付着した不純な香りなどが、この包装中においても、前記炭3によって取り除かれるため、開封時には、茶葉1の本来持つ芳香が発揮される。
【0023】
この包装体2内の茶葉1は、炭包装体12内の炭3の作用により、包装体2内に製茶された茶葉1を包装した状態において、すなわち、茶葉充填包装の後の工場出荷から使用者の開封までの間において、常に乾燥状態に維持されて湿気による鮮度低下を抑えることができると共に、炭包装体12の開口の封部や該炭包装体12を通して、炭3から放射や発生される遠赤外線やマイナスイオンの作用により、茶葉1の熟成度が進行して茶味にまろやかさを増す。
【0024】
特に、包装体2内へ充填する茶葉1は、前記した乾燥工程や火入れ工程を終えて、まだ加熱されたその温度(例えば、30℃~70℃程度の残存温度)が残っている状態で充填をすることで、一緒に収容された炭3へ茶葉1の前記残存温度を与えることができて、該茶葉1の密封充填状態(例えば、在庫時や市場流通状態)において、この前記残存温度を有する茶葉1により温められた炭3から、一層の遠赤外線の発生や照射を促進し、この茶葉の包装状態を利用して、火入れによる香り付けをした茶葉1の該香気をできるだけ長期間において持続させることができる。なお、前記乾燥工程や火入れ工程において用いた炭3も、その加熱された熱が残存している状態で茶葉1の包装体2内に入れることで、加熱により発生する遠赤外線を茶葉1へ作用させることができる。
【0025】
また、火入れ工程にあって、製品茶温が140℃前後の比較的高い温度にて火入れを行うことで、茶葉1から十分な火香を引き出して、香味高い茶葉3を得ることができる。
【0026】
なお、開封した炭入り包装茶A内の炭3は、喫茶に際して、炭包装体12から取り出して沸かした湯中へ浸漬させておくことで、該炭3が、水道水の不純物やカルキあるいは異臭などを取り除き、また、マグネシウムが湯中に溶出したミネラル液となるもので、このお湯で淹れた茶は、口当たりが柔らかになって茶の滋味性を向上させた。また、この炭3は、繰り返し使用できる。
【0027】
【発明の効果】
本発明に係る請求項1および請求項3は、製茶された茶葉を収容した包装体内へ炭を収容させることにより、香り付けされた茶葉に対して、その香味をできるだけ長期間維持させることができる。また、乾燥工程や火入れ工程において茶葉と共に炭を入れて加熱工程を行うことで、加熱された炭から放散される遠赤外線が直接茶葉に作用して、良好な乾燥や火入れを行うことができる。本発明に係る請求項2は、炭を収容させた炭包装体は、粉化した炭の粉粒物を通過させない素材により形成させることにより、炭の粉粒物を包装体内へ混入させない。本発明に係る請求項4は、加熱加工によって残存する茶葉の放散する残存温度により、炭からの遠赤外線の放射を促進させることで、茶葉の充填包装状態において、炭からの遠赤外線効果を得ることができて、茶葉の香味を促進させ、該茶葉の熟成度を向上させることができる、等の格別な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭入り包装茶の一実施例をその一部を破断して示す斜視図である。
【図2】図1における炭入り包装茶に用いる茶葉の加工状態を示す乾燥火入れ機の断面図である。
【符号の説明】
A…炭入り包装茶.1…茶葉.2…包装体.3…炭.12…炭包装体
【出願人】【識別番号】302018802
【氏名又は名称】有限会社 香撰堂本舗
【住所又は居所】神奈川県横浜市港南区上永谷5-15-53
【出願日】平成14年6月11日(2002.6.11)
【代理人】【識別番号】100088144
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 静富【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎【識別番号】100108752
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 寿一
【公開番号】特開2004-8166(P2004-8166A)
【公開日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【出願番号】特願2002-169381(P2002-169381)
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